日本国内における外国籍人材(「技術・人文知識・国際業務」)の雇用推移

日本における外国人労働者数の推移(技術・人文・国際)

本記事では、厚生労働省が毎年公表している「「外国人雇用状況」の届出状況」のデータを参照し、日本国内における外国籍人材(「技術・人文知識・国際業務」)の雇用推移についてまとめています。

参考情報:厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況

目次

日本の外国人労働者数は過去最高を継続更新中

日本における外国人労働者数は、過去最高を更新し続けています。

2016年には約108万人だった外国人労働者数は、2024年には約230万人にまで増加しました。コロナ禍で一時的に伸びが鈍化したものの、コロナ終息後には再び急増しています。

日本における外国籍労働者数の推移

国別にみると、2024年時点で最も多いのはベトナムで、約57万人に達しています。これに続くのが中国(香港・マカオ含む)、フィリピン、ネパールです。さらに近年では、インドネシアやミャンマー出身の労働者も急増しています。

日本における外国籍労働者数の推移(国別)

ホワイトカラー職でも存在感拡大:「技術・人文知識・国際業務」ビザの急増

特にホワイトカラー職に従事している方については、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)で働いているケースが多いと考えられます。

この在留資格を持つ労働者数も大きく増加しており、2016年の約14万人から2024年には約41万人へと拡大しました。これは約2.7~2.8倍に相当します。ITエンジニアやマーケティング、法務、営業など、専門性や高度な知識を要する分野で、外国人材の活用が進んでいることがうかがえます。

日本における技術・人文・国際業務ビザの推移

国籍別で見ると、中国籍の方が最も多く、2024年時点で約12万人。次いでベトナム籍が約10万人となっています。

日本における技術・人文・国際業務ビザの推移(国別)

また、中国籍の方においては、外国人労働者全体に占める「技術・人文知識・国際業務」ビザ保有者の割合も高く、2016年には20%だったところ、2024年には30%にまで上昇しています。

日本における技術・人文・国際業務ビザ割合の推移(国別)

背景にある要因とは?

外国人労働者数の増加には、いくつかの背景要因があります。

  • 少子高齢化による国内労働力不足
    日本国内では生産年齢人口(15歳〜64歳)が減少しており、企業は労働力確保のため、外国人材の活用を積極的に進めています。
  • 政府による受け入れ拡大政策
    外国人材の受け入れを制度的に後押しする動きも強まっています。
  • 高度人材へのニーズの高まり
    特にIT・エンジニアリング分野では、日本企業のグローバル競争力強化を目的に、高度外国人材の採用ニーズが急速に高まっています。

今後の展望:さらに進む多様化と高度化

今後も外国人労働者数は増加基調を続けると見られています。
特に次のような動きが予想されます。

  • 「高度外国人材」の受け入れ拡大
    単なる労働力としてだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やグローバル展開において中核を担う外国籍人材への期待が高まるでしょう。
  • 地方都市への拡大
    これまで外国人労働者は都市部中心でしたが、地方の人手不足を背景に、地方企業でも外国籍人材の採用が広がる可能性があります。
  • 多国籍化の加速
    ベトナム、中国、フィリピンに加え、インド、バングラデシュ、ウズベキスタンなど、新たな出身国からの人材流入も進むと考えられます。
  • 受け入れ企業側の体制整備が必須に
    外国籍社員のマネジメント、オンボーディング、多文化共生のための体制強化も今後一層求められるでしょう。
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